いわきの山遊人

ハイキングからクライミングまでの山行案内と山行記録

桃源郷への道

7月19~20
山形県小国町 末沢川
私の机に一冊の本がある。
我々がたった数メートルの岩場で登った登れなかったと一喜一憂していた頃、薮に積もれた三角点を求め消えかけたゼンマイ径を辿り、熊撃ちの切り付けを頼りに北越後の三角点のすべて130余を歩いた1人の男、亀山東剛氏の山行記録集山の遊学道である。その中身は山行記録にとどまらず歴史、民俗,地質と掘り下げその内容には心惹かれるものがある。

<大日倉山> 袖朝日から派生した末沢川、岩井又沢に挟まれた尾根の中ほどにある特徴のない山であるが、その穏やかな山容が熊狩りの越え口として利用されていたのではないかと、遊学道の中で著者は夢を馳せている。
遊学道にはこう記してある  <この尾根を伝って熊狩り衆は岩井又沢に駆け下って行ったのである> 

岩井又沢は源流釣りや沢を目指すものにとって特別な意味を持つ。その遡行は困難を極め沢になれたパーティだけがその遡行を許される。ただ畑沢出合周辺だけは河原が広がり同じ渓とは思えない穏やかな表情を見せる、まさに桃源郷なのだ。
熊撃ち衆が駆け下りた尾根を確かめに行くことにした。

小国町から荒川沿いを大朝日登山口に車を走らせる。舗装が切れ砂利道の細い林道をいくと荒川に架かる橋があり針生平に到着する。ワラビ園を横切る草の茂る道を針生川に向かい小沢の分岐からの尾根の乗ると最近仮払いされた山道になる、この道は熊狩りやゼンマイ採りに利用するため地元の人たちが手入れをしている。

稜線に上がると末沢川の対岸に荒々しい岩肌の巣戸々山が凄い迫力で迫っている。針生山手前に熊狩りのため刈り払われた展望のよい見張り場がある、ここから北西に派生している845mのピークを目指す。分岐辺りは仮払いされていたが徐々に薮が被さるようになってくる、845mから北へ、末沢川と彦七沢の出合をめがけて尾根を下る。明瞭な踏跡も尾根を分けるたびに怪しくなり最後はコンパス頼りとなったがなんとか末沢川に下降することが出来た。
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当初は彦七沢右岸のゼンマイ径を確かめるつもりでいたが,末沢川の水量も少なく釣りもしたいとの思惑がありあっさり末沢川遡行に切り替える。一人身の気楽さである。
テンカラ竿にフライを付けポイントポイントで振り込んでみるもののまったくあたりはなく、ルアーもひっぱりだした、これもまたまったくである。いい加減いやになった頃、淵にイワナが定位しているのが見えた。フライをイワナの先に振込み反応を待つが見向きもしない、どうしたものかとふと草むらを見ると小さな羽虫がいた。毛ばりの先に羽虫をつけ振り込んでみると一発で食いついてきた。良型である。
もう一度振り込む、すると大物が猛烈な勢いで水中から飛び出してきた、デカイいままで見たこともない大きさだ。                                                     P1000096.jpg
これですっかり釣りモードになってしまい本来の目的である越え口踏査は置き去りになった、しかし世の中そんなに甘くはなく結局釣れたのは28cmと34cmのこの2匹だけで、後はまた反応なしである。
そうこうしているうちウデコエ沢出合に到着する。右岸尾根の取り付きを目指して末沢川を50m程歩くと河原まで素直に延びた尾根が確認できた。
この辺りを幕場にしようと当初考えていたが幕場にするような台地も見当たらない、戻りながら幕場を探すことにした。彦七沢出合を過ぎた辺りに手ごろな幕場が見つかりフライを張る。流木にも恵まれ豪華な焚き火と岩魚の刺身、アラ汁とミズのおひたし冷えたビールとそろえば何も言うことはない。次の日、柴倉沢からの山径を辿り、針生平へ戻る。





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